手帳やノートに残るのは、たいてい「やった日」だけです。やらなかった日は、何も書かれないまま消えていきます。ところが、止まる理由がよく見えるのは、消えていくほうの日です。
弾痕だらけで帰ってきた爆撃機
第二次世界大戦のころ、アメリカ軍は、帰ってきた爆撃機の傷を調べていました。翼や胴体は弾痕だらけ。だから「よく撃たれている場所を、鉄板で補強しよう」。もっともな考えです。
これに対して、統計学者のエイブラハム・ワルドは、逆のことを言ったと伝えられています。「弾痕が無い場所を補強しなさい」。
エンジンを撃たれた機体は、そもそも帰ってこなかったからです。帰ってきた機体のきれいな場所こそ、撃たれたら戻れない場所でした。見えている記録だけで決めると、いちばん大事な所を見落とします。
毎日の記録にも、帰ってこない機体がある
自分を振り返る時も、同じことが起きます。思い出せるのは、うまくいった日や、やり切った日です。手帳を見返しても、空白の日には何も書いてありません。なぜやらなかったのかは、3日もすれば思い出せなくなります。
すると、もう得意な所にさらに力を足して、止まる所はそのまま、ということが起きやすくなります。学ぶほど得意な所は伸びるのに、止まる所は変わらない。「学んだのに動けない」の、よくある形の1つです。
やらなかった理由は、同じ所に集まる
やらなかった日に、理由を1つだけ選んで残してみると、人によって偏りが出てきます。じぶんOSでは、次の6つから選びます。
- もっと調べてからにしたかった
- 気が乗らなかった
- 人の用事を優先した
- もっといい案が浮かんだ
- 失敗が怖かった
- 時間がなかった
どれを選びがちかで、その人が「撃たれると止まる場所」が見えてきます。理由を長く書く必要はありません。身構えずに選んだほうが、癖はよく出ます。
1週間だけ、理由を残してみる
試すなら、1週間で十分です。やらなかった日に、上の6つから1つだけ選んで、手帳でもメモでも残してみてください。7日分そろうと、同じ理由が2回以上出ていることが多いはずです。それが、補強する場所の候補です。
補強といっても、自分を鍛え直す必要はありません。その理由が出やすい日は、やることを小さくする。それだけで、止まらずに済む日が増えることがあります。